2011年09月15日

真左利き用博多鋏('11年9月・5寸・2日目)

さて、前回、コチラ↓にて
http://uinversal.seesaa.net/article/224024871.html
紹介した現在制作中の鋏。
2日目を終えた段階のものがこれ。
10915-1.JPG 10915-2.JPG
「焼入れ」を終え「本研ぎ」の
途中といったろころですな。
鋏の制作行程の説明は
以前に紹介したコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/189391765.html
の記事などご参照ください。
10915-3.JPG 10915-4.JPG
で、今回のこの左利き用の鋏。
苦労して苦労して苦労して
なんとか形になってまいりました
今のとこいい感じなのでは
ないでしょうか。
いつものように次回の
3日目で仕上がりそうです。
10915-5.JPG
こうご期待!

さて、今回紹介する道具はこれ
なんだか、鉄の小さな杭
のような道具ですが、
10915-6.JPG 10915-7.JPG
先っちょのほうを見ますと
「×」と「=」の形になっております
そうですあの博多鋏の特徴である
「菱紋」と「二の字」といわれる
マークを打ち付ける道具です。

「そういえば師匠、この印には
なんか意味があるんですかねえ」
と俺。

「なにやら、魔除けの印って
昔に聞いたことがあるんだけど
定かではないんよなあ。
お前さん調べてくれ」
と師匠。

がってんでい! ということで、
とりあえずネットで
「魔除け」「模様」「博多」
をキーワードに検索したところ
ヒットしたのがコチラ↓。
http://www.awai.jp/hakataori/
「博多織り」ですな。
この柄の提案者が
承天寺の聖一国師というお人で、
謝国明と深い間柄をもつ方
であることは言うまでもないでしょう
(謝国明と博多鋏の関係は
以前に紹介したコチラ↓を)
http://uinversal.seesaa.net/article/163652361.html
10915-19.jpg 10915-20.jpg
で、博多織献上柄とは
「独鈷(どっこ)」
「華皿(はなざら)」
「親子縞」「孝行縞」
という4つの柄が
1セットになっているんですけど。
この中の「独鈷(どっこ)」
という柄が独特でして。
「独鈷」とは密教にて煩悩を払う
法具とされているものなんですね
(右上写真がそのもの
剣の部分が3本になったり
いろいろ形はあるのですが)
その独特な形をデフォルメした
のがこの模様らしいのです。

これが、日本刀の世界でも
「独鈷」というものは
刀身に様々なデザイン化された
ものが古くから彫刻されて
いたりするんですよねえ。
10915-14.jpg
10915-15.jpg
刀剣用語として
使われているくらい
定番の彫りものなんです↓
http://www.weblio.jp/content/%E7%8B%AC%E9%88%B7

それを刀鍛冶師でもあった
安河内卯助が簡略化して
打ち込んだのではないかと。
10915-8.JPG
まあ、これはあくまでも
僕の推理なのですが、
まず間違いないんじゃないかなあ

魔除けの印といえば
日本はおろか世界中に
いろいろあると思いますが
代表的なものはこれらかなあ

まずは「セーマンドーマン」↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
10915-17.jpg
左のものは
「安倍晴明判紋」↓や
http://park17.wakwak.com/~tatihana/onmyou/yougo_folder/kamon.html
「五芒星(ペンタグラム)」↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E8%8A%92%E6%98%9F
とも呼ばれていますね
右のものは
「九字紋」↓とも呼ばれています。
http://gunsoh.fc2web.com/syugyo-2.htm

あと下の印は「籠目(かごめ)紋」↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%A0%E7%9B%AE
10915-12.jpg
これは「六芒星(ヘキサグラム)」や
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E8%8A%92%E6%98%9F
「ダビデの星」↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%93%E3%83%87%E3%81%AE%E6%98%9F
なんて呼ばれ方もしていると思います

あとキリスト教のクロス
「十字」↓もそうだと思うのですが
http://www.kitombo.com/mikami/0924.html
これからの形に共通して言えることは
多くの目を持つことだと言われています
“目”というのは
“籠目”とか“網の目”とか
言うところの“目”ですな。

妖怪や悪魔など邪悪なものの多くは
人間の目を見て呪いや魔法を
かけるって思われてるらしくって
「メドゥーサ」↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%82%B5
10915-16.jpg
とかその典型ですな。
その対策のため、
多くの目を擬似的につくって
妖怪を惑わすといった
作戦があるようなんです。

という意味でも
この博多鋏のマークにも
多くの目を作ったのでしょう
というのが僕の推理です。

いかがだったでしょう。
なかなかいい線いっている
のではないでしょうか?

と、ぼんやり博多鋏を眺めていたら
ハッと気好き、メモをとった。
「××=」を微妙に重ね合わせると
「籠目紋」が現れたではないですか!
10915-13.jpg
安河内卯助の笑い声が
聞こえたような気がした。


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ソワニエvol.9(9月20日発売号)

これ、僕の仕事のひとつ。
最新号が来週火曜日に発売されます

今号のメインの特集は
「小バコのトリコ」
楽しき個性派揃いのミニマム飲食店
の紹介です。
気付けば常連になる店って
みんな小さい店なんですよね。
僕の場合、最近頻繁に通うのが
六本松の「JAZZ家」。
以前このブログでもコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/172218696.html
でも紹介したことがあるのですが
雑誌に載せるとなると常連客に
迷惑がかかるということで
今回は掲載を見合わせたんですけど
まあ、キャパが10席にも
満たないんですから仕方ないですよね
しかし、このブログのお客さんにだけ
こっそり教えちゃいます。
喜んでいただけますでしょうか。
10914-1.jpg
と、今回は第2特集のような
ページもございまして、タイトルは
「福岡においしい
ピッツェリアが増えてきた!」です。
ここのP.39で紹介している
ピッツェリアは超おすすめです。
たぶん、これから5年後くらいに
この店の登場で福岡の
ピッツェリア文化は大きく変わったと
言われるのではなかろうかと
個人的に注目しています。
それほど全てが規格外と申しましょうか
とにかくスゴイ店なんですよ。
ぜひぜひ、この本を
お買い求めいただいて
その店名と詳しい内容を
ご確認ください(笑)。
すみません、ビジネスなもんで。
ではでは、お楽しみに〜。

「ソワニエvol.9」鑑定結果:50ユニバ


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