2012年06月11日

火床メンテナンス(2)

さて、前回の続きです。
2週に1度の
僕の週末鍛冶修業の日。

「師匠、モルタル見ました?
これで大丈夫ですよね?」と僕。
「おお、ありがとな。
たぶん大丈夫やろ。
それじゃあ、火床をかためるか」と師匠

まずは、火床からコークスを
全部取り除きます。
すると羽口がその全容を現しました。
へ〜、こうなってるんだ。
初めて見たなあ。
20610-02.jpg 20610-03.jpg
ところで、羽口とは↓
http://www.weblio.jp/content/%E7%BE%BD%E5%8F%A3
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kumakoh/kajisagyokiroku081.html
http://www.hongwanji.or.jp/goeidou/gos_dayori/dayori90.htm
火床ではコークスに風を当て
温度を上げていく訳ですが、
その送風口のある、いわば
送風管のようなものですな。

しかし、師匠のものは
師匠の親父さんの時代から
使っているものらしく。
管というより、大きな鉄の塊に
穴が開いているもの、
という表現のほうがいいようなもの。
20610-04.jpg
その昔、江戸時代あたりでは
この羽口、素焼きの粘土製
だったらしいですな。
そして、もちろんその頃は
耐火レンガとか耐火モルタル
とかもなく、火床全体も粘土で
固めて作っていたみたいなのですが、
その粘土がどうやら
いわゆる陶器等で使われる
粘土ではダメみたいなんですよねえ。

なんでも、鍛冶屋のみが知る山中で
とってきてたみたいなんですけど
今やそれがどこの山で、
どんな土なのか、うちの師匠も
大庭さんも↓、もう
http://uinversal.seesaa.net/article/215419495.html
知る人が、誰もいないんですよねえ。

で、こういうこと。こういうことが、
僕はもったいなく感じるんですよ。
何百年とかけて知りえた知識が
今、伝統工芸の世界では
どんどん“0”になっているんですよ。
それを少しでも食い止めようと
僕は頑張っている訳です!

と、そんなことはいいとして。
師匠が火床を分解している間、
僕はモルタルに水を入れて準備を。
すると、多少色が、グレーっぽく
なっちゃいましたが、まっいいか。
チッチャイことは気にするな
それ、ワカチコ、ワカチコ。
(ゆってぃ、元気かなあ)
20610-1.jpg
あと、火床の分解ついでに
どうやって送風口からの風量を
調節しているのかと、
いうところをお見せしましょう。
なんのことはない作りでして
羽口の手前に写真のような
穴の開いた板を置いておりまして
これをスライドさせることで
風量を調節する訳ですな。
手前に引けば風量が多量に
奥に押せば風量が少量に
なることになります。
分かるかなあ、分かんねえだろうなあ
20610-05.jpg 20610-06.jpg
さて、最後は掃除機で
きれいに灰もとりのぞき
耐火レンガとレンガの間に
耐火モルタルを塗り、重ねていきます
20610-07.jpg 20610-08.jpg
完成後、コークスを戻し、火入れをし、
その火の広がり具合を確認し
「おお、なかなか、いいっちゃないや」
とご満悦な師匠。
20610-09.jpg 20610-010.jpg
しかし、今回。
火床作りの重要ポイントは
羽口の角度だってことを知りました。
これが上過ぎても下過ぎても
ぜんぜん、火の広がり方が
違うんですよねえ。
火床と平行でもなく、それは
ほんのちょっと上向き加減なとこ
なんですけど……
この情報、誰か参考にしてくれる人
いれば嬉しいのですが……。
20610-011.jpg


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posted by アサケン at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする