2009年04月20日

博多包丁

「博多包丁」鑑定結果:80ユニバ

さて前回の続きです。
かつては博多の台所にはかならず1本はあったという
ごりょんさんたちに愛され続けたこの包丁。
これ1本で魚や肉、野菜切りもまかなえたことから
「一本包丁」とも呼ばれており、
あと「いなさ包丁」って呼び名もあるらしいですな。

自宅に持ち帰り袋を開けてみると
「ごあいさつ状」が入っておった。
90419-1.jpg
そこにはお手入れ方法などが記されており、
なんでも、錆びが入らないように、
使用後は熱湯をかけて、乾いた布で拭き取ること。
また、クレンザーをつけた大根のへた等でこすると、
赤錆も防げるらしい。
といったことが書かれてあった。
そして最後は「末永くかわいがってやって下さい」
の言葉で締められておった。
てまひまかけて作られた包丁はもう息子同然なんでしょう。
大庭さんの包丁に対する愛情が伝わってまいります。
90419-2.jpg 90419-3.jpg
さて、この包丁、特徴は三角に尖った先端部分、
そして、少しそりあがった背中部分。
それはまるで魚が飛び跳ねている姿を連想させる、
独特のフォルムをしております。
三角に尖った先端の斜めの背部分では
ゴボウの皮もむけるように考えられているらしい。

「黒打ち」と呼ばれる黒い表面処理は
堂々たる風格を感じさせますが、
タテにみると驚くほど薄く、
その手打ち技術の繊細さも垣間見ることができます。
90419-4.jpg
刃の部分は両刃といわれるもので、
両面に鎬が入っております。
和ものの刃物は地金(柔らかい鉄)と
鋼(固い鉄)を合わせることで、良く切れ、丈夫で、
研ぎやすいものを生み出しておるのですが、
この包丁はその鍛接方法の中でも
「割り込み」という方法を使って作られております。
「割り込み」とはまだブロック状の地金に亀裂を入れ、
その亀裂の間に鋼を食い込ませ、
叩いて伸ばして板状にしていき、
包丁として完成させる技術です。

ちなみに西洋のナイフは全鋼といって
全て鋼のみで作られているものが多く、
これだと固すぎて研ぎにくく、
粘りがなく折れてしまうといったものになるんですな。
90419-5.jpg
で、大庭さんのとこには、
菱形を組み合わせたようなマークがあるのですが、
そのマークが包丁の横面(手元の背中近く)に
打ち付けられておりまして、
実はこのマークがついているところまで
鋼が入っているという意味らしいのです。
要するに、このマークのところまでは、
研いで刃物として使えるということになるわけですな。
だから前回の記事でも紹介したように、
細ーい包丁になるまで長年使い続けることができるんです。
ああ、もうその魅力を語り始めると、
とても今回の記事だけでは足りません。
また機会がありましたら、ぜひ説明させていただきます。
本日はこんなところで。

ちなみに、いろんなHPにおけるこの店の紹介記事はコチラコチラなど。

「博多包丁」鑑定結果:80ユニバ


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posted by アサケン at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | モノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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