2010年09月26日

ユニバーサルデザイン博多鋏

さて、前回からの続きです。


例えば、持ち手? 指を入れる部分。
鋏職人用語では「アシ」と
呼ばれている部分なのですが。
ここの幅を広くして、
指に当たる面積を広くすれば、
鋏は安定するのではないかと。

そうすれば、
手の動きが不自由な方にも
手の大きさが小さな方にも
使いやすくなるのではないかと。

さらに、アシの部分が広くなれば、
鋏は縦に寝せて置けるようになるはず。
そうすれば、場所もとらないし、
取りやすくもなるのではないかと。

そんな構想を描いて1年。
ようやく技術もともない、
できた試作品1号が下の写真のもの。
00926-1.JPG
どーですか。人類史上初めて、
鋏が縦に寝た瞬間である。

まるで涅槃像のようなその姿。
思わず拝みたくなったのは
僕だけでしょうか。
これに博多鋏のような模様を刻めば
工芸品としてインテリアにも
なりうるのではないでしょうか。
00926-2.JPG 00926-3.JPG
ノーマルな博多鋏のアシは
直径3mm程度の
太麺って感じの棒状なものなのですが、
コイツは幅1cmほどの
きし麺って感じの帯状になっております。
00926-4.JPG 00926-5.JPG
ちなみに娘に使わせたところ。
前回紹介したノーマルな博多鋏より
断然こっちのほうが使いやすいとの
お墨付きをいただきました。

まだまだ、第1歩目ではありますが、
このように、伝統工芸に
ユニバーサルデザインを取り入れ
“古く、新しく、いいもの”
って出来ないかなあと考えております。

鍛冶屋は今、
衰退の一途を辿っております。
このままいけば確実になくなるでしょう。
しかし、まったくのゼロになったのでは、
本当にもったいないという知恵と技術が
山のように眠っているんです。
それらは、やってみると分かるのですが
なかなか文献や映像だけでは、
残せないものも沢山あるんですよね。
00926-6.JPG
しかし、今の鍛冶屋に弟子を持ち
食っていかせるだけの
余裕なんてありません。
僕のようなやり方でしか
伝承は無理でしょう。

鍛冶屋の火は僕が守りますよ師匠!

「ユニバーサルデザイン博多鋏」鑑定結果:100ユニバ


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posted by アサケン at 11:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by りのぽんのつぶやこっかな☆ at 2010年09月26日 17:01
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Posted by アサケン at 2010年09月28日 01:40
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