2011年05月01日

博多鋏(’11年4月、5.5寸2日目)

さて、前回、コチラ↓で紹介した
http://uinversal.seesaa.net/article/196334841.html
5.5寸鋏製作の続き、
2日目の工程紹介ですな。

2日目は細かく言うと
「生研ぎ(ナマトギ)」

「目釘穴あけ(メクギ)」

「菱打ち(ヒシウチ)」

「焼入れ(ヤキイレ)」

「焼戻し(ヤキモドシ)」
までだろうなあ。

と、その前に下の写真。
これ、師匠んちの作業場です。
10429-1.JPG 10429-2.JPG
工房というより、工場ですな。
僕はこの場所が
大好きなんですよねえ。
ここに漂うコークスの臭いを嗅ぐと
なんかワクワクしてくるんです。

で、さらに下の写真。
これが「火床(ホド)」といいます。
10429-3.JPG
ここから全てが始まる。いわば
鍛冶屋の子宮ともいえる場所ですな。
耐熱レンガで囲まれた窪みに
コークスが積まれております。
この下の横のほうから
風を送る鉄管が埋められており、
(この管を「羽口(ハグチ)」という)
さらに送風機も埋められております。
で、モーターで風を送りながら
このコークスを赤く
燃え上がらせるわけですな。

昔はこの送風機を
モーターではなく手動で動かした
フイゴという道具を使っていました。
で、このフイゴという道具を鍛冶屋は
象徴的かつ神聖な物として
崇め奉っているのです。
と、フイゴについては
話が長くなるので、
本日の道具紹介はこれぐらいにして。

続いて本日の作業紹介。
メインイベントはこの火床にて
行われる「焼入れ」の作業です。
まずコークスに火を入れ、
鉄の瓶に入った鉛を溶かします。
10429-4.JPG
このなかに「生研ぎ(ナマトギ)」
を終えた鋏を投入し、
温度が760〜780度まで上がった
ところで、一挙に水につけ冷却。
こうすることで鋼(高炭素鋼)は
強く固まるんですね。

鉛を使うのは、上限を見極めやすく
温度のむらをなくすためです。
鋼は温度を上げすぎると、
もう組織が変わって
いい焼きが入らないんですね。
適温は鉄の色で判断するのですが
チェリー色と柿色の中間ぐらい。
柿色まで上げすぎちゃうと
もう、だめなんです。全てがパー。
いったん温度を上げて、
その後適温まで下げて、焼き入れ
なんてことができないんですね。
そういう温度管理が
「焼入れ」の難しいところかなあ。

しかし、ということを、
まだ科学が発達していない
大昔の鍛冶屋は、
どうやって知りえたんでしょう。
そんな驚きがいっぱいに
詰まっているんですよねえ鍛冶屋は
いや〜、ホント夢中です。

さて、この後、「焼戻し」をして
本日の作業は終了。
今回は「焼き入れ」の作業を
詳しく説明しましたが、
その他の作業については
また次の機会にて。
10429-5.JPG 10429-6.JPG
とりあえず今回の鋏は、
鍛接も焼入れも成功して、
まあまあの出来。さて、
次回はいよいよ仕上げだー!
10429-7.JPG 10429-8.JPG
無事、鋏が出来上がりますように。


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posted by アサケン at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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