2011年07月18日

博多包丁(製作工程)

さて、以前にコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/210901215.html
http://uinversal.seesaa.net/article/117731841.html
でも紹介したことがある
「大庭鍛冶工場」なのですが
大庭さんはとってもマメなお方で
それに時々、小学校等で
講演などやられているみたいなので
博多包丁の製作工程がわかるものを
サンプルとして残してあるんですね。
うちの高柳師匠とは大違いです。
高柳師匠は完成作でさえ、
もう3年弱修業している僕でさえ、
あまり見たことがないくらいですから。
自分の手元に残さない
人なんですよねえ。

で、先日、久々に大庭さんちに
遊びに行った際、そのサンプルを
ひとつずつ撮影させて
もらいましたので
以前から撮らしていただいてる
作業風景とともに
博多包丁の製作工程をちょっと
ご紹介させていただきます。

博多包丁がどんな包丁なのかは
以前に紹介したコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/117825130.html
の記事をご参照ください。

博多包丁は
割り込みという方法で造られる
両刃の菜切り包丁でして。
まず1.2cm×3cm×9cmほどの
地金(生鉄、軟鉄ともいう)の
前半分の真ん中を割ります。
10717-1.jpg 10717-2.jpg
この割る作業には
向こう槌といわれる人員に手伝って
もらうこともあれば
ひとりで割ることもあり。
ここでは向こう槌を弟子が
手伝っている作業風景を
掲載しております。
10717-3.jpg 10717-4.jpg
で、下の写真、小さい鉄辺が
鋼(いわゆる炭素鋼)です。
鋼は日立金属のブランド
「ヤスキハガネ」の黄紙
といわれるものを使用してます。
ヤスキハガネはその炭素量や
化学成分の違いによって
青紙・白紙・黄紙(固い順)
と分かれておりまして。また、さらに
それぞれの色から1号や2号と
分かれているのですが、
それはまた次の機会に説明します。
10717-5.jpg 10717-6.jpg
で、地金の亀裂に
鍛接剤(鉄蝋、フラックスともいう)
の「ほう砂」をふりかけ、鋼をはめこみ
1000度ほどで熱し、一挙に
鍛造機(ベルトハンマー)等で
叩き、くっつけます。
10717-7.jpg 10717-8.jpg
その後、何度も何度も、
金敷の上で鎚を振り下ろし、
徐々に包丁の形へと近づけます。
この鎚さばきが見ていて
一番面白いとこですかねえ。
ほんとマジックでも
見ているかのように
見事に形が出来ていきますんで。
10717-9.jpg 10717-10.jpg
ところで、この大庭さんの金敷
先日、紹介した高柳さんの金敷↓
http://uinversal.seesaa.net/article/215103789.html
と見比べると、その違いが
大きく見て取れます。
大場さんは2つの金敷を併用してて
手前にあるのが和金敷、
向こうにあるのが洋金敷ですな。
やっぱ包丁や鍬を造る大庭さん
なので金敷も高柳さんのものより
大きいんですな。
10717-11.JPG 10717-12.jpg
さて、ここで、次第に
包丁の形が出来上がっていく
様子を見ながら、またちょっと
地金と鋼の話をば。
鋼は炭素量が2〜0.04%の鉄
のことをいい。
ある程度の温度まで赤く焼いて
それから水や油の中で
急冷すると組織が変化して
大変硬くなる性質があるんですな。
しかし、硬ければいいってもんじゃなく
カッチカチに焼きの入った鋼は
今度は衝撃に弱く、欠けやすい
といった特徴も持つんですね。
そこで、今度はある程度まで
温めなおしてやると、また
粘りを持つようになるんですな。
これを“焼き戻し”の作業といいます
10717-13.jpg 10717-14.jpg
さらに、柔らかい鉄=地金
を合わせることで衝撃に強い
刃物を造っているんです。
地金は炭素量が0.03%以下の鉄
のことをいいます。
この鉄は何度で温めても急冷しても
焼きは入らないんですな。
これが、西洋にはない
日本の刃物の特徴的構造でして、
日本刀も基本的には
同様の構造ってことになります。
10717-15.jpg 10717-16.jpg
これを、科学もまだ何も無い
大昔にですよ。経験と勘だけで、
形作っていったっていうんだから
驚きなんですよねえ。

で、大庭さんとこでは
焼き入れはコークスの直火を使い
菜種油で冷却して行います。
10717-17.JPG 10717-18.JPG
焼き戻しはグラインダーで削るときの
摩擦熱でおこなってるみたい。
10717-19.jpg 10717-20.jpg
あとは砥石で研ぎ
柄をはめ、焼印を入れて
できあがり。
10717-21.jpg 10717-22.jpg
こうやって、文字におとすと
簡単ですけど、実際やってみると
文字では表わせない、
コツやタイミングとかあって
ほんと奥が深いんですよ
鍛冶作業は。
10717-23.JPG 10717-24.JPG
まだまだ、ここでは
書ききれなかったことも沢山ありまして
それはまた、これから、いろんな
場面にて紹介させていただきます。
皆さん、ついてきてね〜。
10717-25.jpg


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posted by アサケン at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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