2013年03月06日

博多鋏('13年2月製作開始・6寸 その1)

博多鋏の最大寸法である
6寸の鋏は、前々回の製作で
挑戦したのだが、
コチラ↓で紹介したように
http://uinversal.seesaa.net/article/301645191.html
あえなく失敗。

では、その汚名を返上すべく
今回、再び挑戦することに。

ということで、
「6寸用の地鉄をいただけますか」
と師匠にいうと
「おお、最近、新しい素材が
手に入ったんよ。好きなだけ使いい」
とのこと。

素材のことについては
以前、このブログでもコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/256987205.html
で紹介したこともあるのですが
ずっと師匠は、父上の代から使う
ヨーロッパのどこかの
鉄橋で使われていた鉄材を
地鉄として使っていたらしいのだが
それが最近、なくなりかけていた
らしいのですねえ。

どこかにいい地鉄がないかいな
と探していたところ、
ちょいと縁あって、コチラ↓の
http://www.daifuku-s.com/
「大福シャーリング」さんに
提供してもらえるようになったらしい。
なんでも博多包丁で知られる
大庭さんところも↓
http://uinversal.seesaa.net/article/215419495.html
こちらの地鉄を使って
いらっしゃるとのこと。
30305-1.jpg
では、その新地鉄を
使わせていただきます。

まずは測定しておきましょうかね。
幅5分5厘、厚み2分
と、以前のものより若干大きめですな
30305-2.jpg 30305-3.jpg
まあ、大きいものを小さくしながら使う
鍛冶屋の素材としては
さほど問題はないでしょう。

「じゃあ、あと鋼もいただけますか」
と師匠にいうと
「爪がついたものは、
さっきなくなったんで、自分で作りい」
とのこと。

鋼(ハガネ)のことについても
以前、このブログでコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/196334841.html
で紹介したこともあるのですが
いつもは、師匠が何本か作って
準備している、細くて短い棒状で
爪がついた鋼を2本もらって鍛接↓
http://uinversal.seesaa.net/article/206724054.html
していたのであるが
今回はそれを自分で作れと。

「え〜、めんどくさい」
とは口が裂けてもいえず。
今回は、その作業からとりかかることに

左下の赤らめた長い鉄棒が鋼ですな
ぱっと見、地鉄との区別はつきません
ちなみに鋼は、日立製鋼、
安来鋼、白紙2号を使っております。
30305-4.jpg 30305-5.jpg
これを細く伸ばし、爪をつけて
短く切ったものが右上のものですな
この爪をつけるのが難しいのですが
どうつけているかは、また別の機会に

さて、この鋼を地切りした地鉄に
鍛接するのですが
このときに使うのが、下の写真の
ヤットコといわれる道具です。
30305-6.jpg
まあ、ラジオペンチのようなもんですな
しかし、これがよく出来ていて。
裏側に段がついているのですが
この段を地鉄のアゴの部分に
ひっかけることによって、
鋼を置く位置が分かるように
なっておるのであります。
30305-7.jpg 30305-8.jpg
この鋼を付ける位置を間違えちゃうと
いわゆる堅い部分が
左右対称にならず
一方が削れちゃうなどの
問題が発生するんですな。

ということで、無事
鋼を鍛接し終えたばかりの
状態のものが下の写真。
30305-9.jpg
さらに、鍛造によって
形を整えたものが下の写真。
30305-10.jpg 30305-11.jpg
まあまあの出来かなあ。
30305-12.jpg 30305-13.jpg
それでは次回は削りの作業ですな。
無事、鋏になりますように。
posted by アサケン at 11:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素材が違うとたぶん途中の感触も変わるよね。その後どうなったんかな?続編待ってます。
Posted by kiffy at 2013年04月25日 10:18
本日、さっき更新させていただきました。
ほんと、Kiffyさんだけだと思いますよ
このページを楽しみにしてくれているのは。
しかし、時代が時代なら、
門外不出の貴重な情報満載なんですけどね。
ではでは。
Posted by アサケン at 2013年05月21日 16:33
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