2013年05月21日

博多鋏('13年2月製作開始・6寸 その2)

さ〜て、ご無沙汰しておりました。
鍛冶修業日記。
しぶとく、続けておりまっせ〜。

前回、コチラ↓で紹介していた
http://uinversal.seesaa.net/article/343110431.html
作りかけの鋏の続報です。

「地切り」し「鍛接」までを終えた前回
それから「鍛造」「生研ぎ」までを
終えたのが下の写真のもの。
30521-1.jpg 30521-2.jpg
さらに「目釘穴あけ&菱打ち」
「焼入れ」「本研ぎ」とまで
進んだのが下の写真。
30521-3.jpg 30521-4.jpg
工程の話は以前コチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/189391765.html
で紹介したものをご確認ください。

と、ここで重大な問題が発生!
なんと、削り進めているうちに
中のほうから、鍛接失敗部分が
現れはじめたのでした。
30521-5.jpg
鋼と地金がうまく接合しておらず。
亀裂となって出てきてしまいました。
こうなると、はい、終了〜。
もう、いかなる修復もききません。
これまでの作業はみんなパ〜。
最初から作り直しです(涙)。

ここんとこ、ずっと
失敗作が続いているうえ
この最終段階で、
失敗が発覚したことで
相当ヘコんだ次第。
ということで、最近、鍛冶日記が
更新されていなかった訳ですな。
はははは↴。

さて、そんなスランプ状態を脱すべく
ちょいと気分転換なお話をば
させていただきます。

師匠の細工場には
2台の両頭グラインダーが
置いておりまして、ということは合計で
4種のグラインダー盤があるのですが、
1種は、特別な場合で使うのみで
ほぼ3種で全ての削りと研磨を
まかなっております。
グラインダーの話は以前コチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/202480662.html
で紹介したものもご参照ください。

下の写真は1機目のグラインダーで
上奥に見えるのが「水研ぎ」用のもの
下手前が特別時用のもので
これが、ほぼ使っておりません。
30521-6.jpg
この1機目のグラインダーは
モーターにシャフト、グラインダー盤を
別々に買ってきてベルトで繋げた
師匠オリジナルのものになります。
30521-7.jpg
師匠曰く
「こういうシンプルな作りの方が
頑丈やし、回転数なども
自由に変えれて便利なんよねえ」
とのこと。

一方、もう1機が下の写真のもの
上奥が最終研磨に使う
バフといわれるもので
バフにつきましては
以前に紹介したコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/270653237.html
http://uinversal.seesaa.net/article/270653237.html
http://uinversal.seesaa.net/article/271051002.html
で紹介したものをご確認ください。
で、下手前がアシ部分などを削る
グラインダー盤でございます。
30521-8.jpg
この2機目のグラインダーは
市販されていた両頭グラインダーで
回転数が決まっておるそう。
標準で1800min-1(回転/分)
あるそうなんですが、
これをとある禁じ手により
1500min-1に押さえているとのこと。

その方法というのが
インバーター(周波数変換機)を使って
西日本で60Hz(ヘルツ)ある周波数を
だいたい45Hzぐらいに落として
これによって回転数を下げて
いるらしいんですねえ。
30521-9.jpg
知っている方も多々いらっしゃると
思いますが、日本には2種の
電力周波数がございます。
東日本で50Hz、西日本で60Hz。
例えば九州で買った扇風機を
東京で使うと回転数が落ちる
なんて話を聞いたことが
ありませんでしょうか?
あの理論を利用しているのですねえ

ちなみに日本の商用電源周波数
のお話はコチラなど
でご確認ください。

で、現在1500min-1ぐらいで
使っているらしいのですが
本当は1200〜1300 min-1ぐらいが
いいんじゃないかと、思ってて。
でも、これ以上合わない、周波数で
モーターを動かしていると
トランスが加熱して
発煙したりするらしいんですね。

へ〜、勉強になります。
じゃあ、これも1機目のグラインダー
のようにシンプルな作りのものにすれば
いいんじゃないかと思うのですが
それはそれ、やっぱり
素人のオリジナル・グラインダーでは
軸のズレなどがあり
最後の繊細な研磨には
向いていなかったのかなあ
なんて想像しています。
逆に、荒削りで、水を落としながら削る
なんてグラインダーには
市販されているものでは
すぐ壊れちゃうんじゃないかと。

グラインダーも人間と一緒ですな
適材適所、一長一短やなあ
というお話でした。
…みんな、ついてきてね。
posted by アサケン at 15:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わかる、わかる、財布が出来上がる寸前に革の裏側に割れが見つかったりしたらもうどうしようもないもんね。落ち込みもわかる。財布はそのパーツだけやりなおせるけど。
Posted by kiffy at 2013年06月10日 23:45
まったく、やればやるほど、その難しさを感じております。
特に目釘周辺や刃振りには、宇宙が存在しております。
Kiffyさんなら分かってもらえるでしょうね。
Posted by アサケン at 2013年06月22日 12:01
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