2017年04月29日

グラインダー整備

さてさて、
前回の記事で宣言していたとおり
今回はグラインダーと円砥の
整備についてです。

実は師匠がちょいと
体調を崩しておりまして
この何カ月か工場の機械の
整備を任されておる次第。
しかし、いい機会だから今後のために
どういう整備をしたか
記録に残しておこうと。

この鍛冶修業の日記も
振り返れば2010年から
始めているのですが
意外と振り返るのに便利なんですよね。
ちなみに過去の記事で
グラインダーについて触れてた記事
は以下のものです。
http://uinversal.seesaa.net/article/362708217.html
http://uinversal.seesaa.net/article/202480662.html
170330-1.jpg
普段は上の写真のような感じで
使っているのですが
いろいろカバーを外して
中核部をむき出しにしたのが
下の写真ですな。
170330-2.jpg
真ん中に1本のシャフトがあって
その両端に用途の違う
グラインダーが2枚セットしてある
で、中央部にベルトが巻かれて
1つのモーターで動かしている
って感じのシンプルなマシンですな。

で、このシャフトが重要で、先代から
使われているものらしく。
師匠はあと予備のものを1本
持っていると言っておった。

さて整備することは
ベアリング(軸受)に
グリス注入口があるので
ここにグリスガンを使って
グリスを注入すること。
グリスはここからしか
ベアリング内部には入らないんだなあ。
側から入れても表面に塗られる
だけなのであーる。
シャフトをモーターで回しながら
入れていくのがコツといったところ。
170330-3.JPG 170330-4.JPG
あと円砥と呼ばれる
回転式の巨大砥石マシンもあって
ここにも同じように
グリスをさしていく。
170330-5.JPG 170330-6.JPG
と、こんなところで研磨機類の
整備は終了〜。
では、次は集塵機の掃除でもするか。
posted by アサケン at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月14日

「博多鋏」の技、国の文化財に

先月、メディア発表されたのだが
この度、「博多鋏」の製作技術が
国の無形民俗文化財に指定された。↓
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2017012701_toshin.pdf
今後、「博多鋏製作技術保存会」
が作られる予定で、私の名前もそこに
連ねていただけるらしい。
170214-1.JPG
ありがたや。

師匠の家に出入りさせて
いただくようになり
かれこれもう9年目になる。

突然転がり込んで
「弟子にしてください」というと
「弟子なんてとってない」と断られ
それでもなんとか
「僕には夢があって
ユニバーサルデザイン博多鋏
が作りたいんです」と説明すると
「じゃあ、勝手にすれば」といわれ
いや、いっていただいたと受け取り
週末に勝手に訪れることから始まった。
最初はろくに相手もしてくれなかったが
徐々に教えてくれるようになり
最近では、ようやく鋏らしきものは(^^;)
作れるようになってきた…と思っている。

この9年で知り得たこの知識は、
書物やビデオや口だけの説明では
なかなか習得することができない
共に火床を金敷を鍛造機を研磨機を
見つめて、あーでもない、こーでもない
と話し合ってでしか得ることができない
貴重なものだと思っている。

そしてここには、たとえ
伝統工芸が下火になったからといって
これを“0”にしてしまっては
ほんとにもったいない技術も
たくさん詰まっている。

よくもまあ、この8年間
どこの馬の骨とも分からぬ人間を
追い出すこともなく、
そばにいさせてくれたなあと
感謝は尽きることがない。

せめてこの知識を
“0”にしないお手伝いをさせていただくことで
お許しいただければと思っています。
これからも宜しくお願いします。
師匠!
posted by アサケン at 16:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月28日

鍛造機メンテナンス

さてさて、
前回の記事は…2015年の9月かあ
はははは、またまた久しぶりに
このカテゴリの記事を
更新させていただきます。
博多鋏の鍛冶職人・高柳晴一氏
のもとでの鍛冶修業、
しぶとく続けておりますよ〜(^_^)

ここんとこちょいと体調を崩してる師匠。
そんな師匠に代って工場の
大切な機械類のメンテナンス作業を
任されるようになった私。
最初は「遊び人」、その後「生徒」
最近ではようやく「弟子」と私のことを
他人に紹介してくれるようになっていた。
これはもう間違いなく私が
4代目候補になったという証(号泣)
メンテナンス頑張らさせていただきます!

ということで最初は
鍛造機のメンテナンス作業から。
鍛造機の役割については
以前に紹介したコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/206724054.html
の記事をご覧ください。

とにかく鉄のマシンですから
錆だの摩耗だのが一番の天敵。
それらを防ぐのにはこまめな
オイルにグロス注入が不可欠なんです。
で、どういったところに刺したかを
鍛冶屋覚え書きとして
ここに写真で記録しておこうと。

まずはオイルがコチラ。
161216-1.jpg 161216-1-2.JPG
とにかく回転して動く
摩擦がおこるとこすべてですな。
161216-2.jpg 161216-4.jpg 161216-3.jpg 161216-5.jpg 161216-6-1.jpg 161216-6.jpg 161216-7.jpg 161216-7-1.jpg 161216-7-2.jpg

続いてグリスがコチラ。
まずはグリスガンの後ろの棒を
引っ張り出して引っかけた状態にし
グリスを投入したら棒を戻して
セッティングが終了。
161216-9.jpg 161216-8.jpg
グリスは鍛造機側に投入口があって
そこからでしか入らないんですな。
この鍛造機には2か所にありました。
適当に摩擦が起こってそうな所に
塗ったところで表面でしかなく
機械のなかまで入っていかないのだ。
161216-10.JPG 161216-11.JPG

とにかくマシンは大切に使わんとね。
ちょっと前に師匠から
この「フクダ」の鍛造機は
現在はもう会社自体がなくなってて
事業を引き継いだ会社が
受注生産性で作っているのみ
って聞いたことがあったからなあ。
ネットで調べてみると、ありました。
コチラ↓がその会社のようですな
http://www.taniguchi-iw.co.jp/index.php?id=11
「谷口鉄工所」っていうんだ。

ついでに
その他の会社も検索してみると
スプリングハンマーの製造販売を
専門でやっている会社も
あるじゃないですか↓
http://www.ne.jp/asahi/terasawa/homepage/service.html
「寺澤鉄工所」かあ覚えとこ。

「坂本式ベルトハンマー」ってのもあるぞ
https://www.kochi-seizou.jp/attention/?hdnKey=572&lang=jp

「卓上スプリングハンマー」?!
http://www2.plala.or.jp/springhammer/
「日本の伝統を趣味に
定年後に憧れの職人を」
って、なにそれ(笑)

しかし
この鍛造機の調節には
どの鍛冶屋さんも相当苦労している
みたいですな↓
http://damascusnote.blog.fc2.com/blog-entry-23.html
へ〜、この人凄いなあ
ダマスカス・アーチストとかいるんだ。
ダマスカスとはこのブログでも
以前にコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/238519282.html
で紹介した記事をご覧ください。

よっしゃ、鍛造機のメンテナンスは
今回はこんなとこで終了〜。
次はグラインダーと円砥じゃあ。
posted by アサケン at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月27日

創作鋏('15年9月製作・5寸)

さて、久々にこのジャンルの記事を
更新させていただきます。
かれこれ2008年の9月から
修業させていただいてるんで
この9月でまる7年になるんですな。
ははは、けっこうな修業期間だなあ。
博多鋏の鍛冶職人・高柳晴一氏
のもとでの鍛冶修業、
しぶとく続けておりますよ〜(^_^)

で、この度、完成しました新作がこれ。
ちょっと不格好な鋏ではありますが
これ画期的な鋏なのでございます。
どこが?と申しますと
なんとこれ、ナイフとハサミを
合体させたアイテムなのであります。
150927-1.jpg 150927-2.jpg
博多鋏の特徴として
ムネ鎬(しのぎ)というのがあるのですが
普通は切れる刃の方にだけ
鎬(斜めになってるとこ)があるのですが
博多鋏はその反対側にも鎬があって
これをムネ鎬と呼んでるんですな
150927-3.jpg
で、僕のあふれる才能が
せっかく鎬があるのなら
ここにも刃をつけてしまえという
発想をもたらしたのです。
そしたらそこは切り出しナイフとして
使えるだろうと。
例えば工作をしているとき
ここはカッターで切りたい
ここはハサミで切りたい
と思うときありますよね。
そんな2つの要望を1本で叶える
ことができるアイテムがあったなら。
イメージしたのは
肥後守↓と博多鋏を
http://www.higonokami.net/
合体させたようなものでした。
150927-4.jpg 150927-5.jpg
いや〜、よくないですかこれ。
こんなアイテム考えつくのは
世界広しといえども僕だけだろうと…
思っていたのですが…
http://kaminodesign.way-nifty.com/blog/2013/11/post-bf68.html
なんだよ〜いくつかあるじゃんよ〜↑
人間考えつくことは同じやね
は〜あ…まっでも、
工芸品的魅力は俺の方が
あるんじゃない?
わっはっはっは〜。
posted by アサケン at 18:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月25日

創作鋏('14年1月製作開始・5寸 その3)

最後の更新からもう随分
日がたってしまっておりましたが↓
http://uinversal.seesaa.net/article/395626027.html
しぶとく続けております鍛冶修行。
そして、もう随分前に
完成していたのですが
私の最新作がこちら。
40925-1.JPG
「三つ指穴鋏」と呼んでおりましたが
師匠から
「タコの足みたいやのう」
と言われたことから
「タコアシ鋏」と
改名させていただきます。

インクルーシブ・デザインとは
ひとりでも多くの人を含めて
使いやすいデザインとはなんなのか
が考えられたデザイン。
それに対して
エクスクルーシブ・デザインは
ひとりひとりの使いやすさを
個別に考えられたデザイン。
インクルーシブ・デザインが
社会的な満足を
エクスクルーシブ・デザインが
個人的な満足を満たす
デザインコンセプトといえるでしょう。

鍛冶屋はひとつひとつが
手造りですから
ひとりひとりにあったものを作れる
エクスクルーシブ・デザイン
かつ、みんなに提供できる
究極のユニバーサルデザイン
といえる行為ではないかと思っています
そのパイロット版として
今回の作品は作ってみました。
もしかしたら、こういうデザインのものを
使いやすいと感じる方が
いるかもしれないと。

まだまだ、持ち心地も
切れ味もいまいちなのですが
師匠からは
「バランスはいいっちゃないや」
とお褒めいただきました(涙)
精進いたします。
posted by アサケン at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月26日

創作鋏('14年1月製作開始・5寸 その2)

さて、前回コチラ↓で紹介した
http://uinversal.seesaa.net/article/386892345.html
新しい僕の創作鋏。
名付けて「三つ指穴鋏」!の製作
ゆっくりゆっくり進んでおります。
40425-1.JPG 40425-2.JPG
まだ、「生研ぎ」の途中
って感じのとこですが。
アシが2つに分かれた部分に
めちゃくちゃ難しさを感じております。
40425-3.JPG 40425-4.JPG
というのも、そのアシの部分を
開いては削り、閉じては削り
と繰り返しておったら
なんだか、その股の部分が
金属疲労を起こしてるみたいで
今にも折れそうになってしまって
いるんだなあ、これが。
40425-5.JPG
もうこれ以上動かさず
最後の仕上げに持っていくしかない
といった状況で……
ん〜、無事出来上がってくれることを
祈るのみという感じです。


さて、本日はここから
ちと鋏から離れた話をば
させていただきます。

「博多町家」という言葉を
ご存じの方はいらっしゃるだろうか

あの豊臣秀吉が行った
博多の町の区画整理により
出来上がった間口が狭く奥行の深い
独特な住宅スタイルのことなのだが↓
http://100.f-design.gr.jp/?p=249
それを再現し展示館にしたのが
「博多町家 ふるさと館」↓
http://www.crossroadfukuoka.jp/event/?mode=detail&isSpot=1&id=400000005259
だったりするわけですね。
しかし、師匠んちはこれを、今も
現役として使っているのであります。

ちなみに、
町家と長屋との違いは↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BA%E5%B1%8B_(%E5%95%86%E5%AE%B6)
長屋が集合住宅であるのに対し
町屋は独立住宅であること。
すなわち、隣との壁が
お互いで1枚を共有しているのではなく
それぞの家が1枚づつを
所有しているんですな。

京都でもよく見られる
商人や職人たちの町スタイル
なのですが、これが今
様々なところで問題を起こしている
らしいんです↓
http://sumai.nikkei.co.jp/edit/soudan/house/detail/MMSUq2000020062012/

突然、隣の家の家主が
その土地の人間ではなくなって
一方的に建て替えをするんですな。
そうすると、こっちの家の壁は
土壁がむき出し状態となっており
補強工事を強いられてしまうのです。
40425-6.JPG
それだけで事が終わればいいのですが
師匠の家の場合だと
この補強工事により壁幅が
あと6cmほどの隣の家側に厚くなる
ということらしいのですが
その侵食さえも許さないという
新しい家主もいらっしゃるみたいで…
40425-7.JPG 40425-8.JPG
“お互い様”といった関係性が
なくなってゆく、今の日本の縮図を
見せられたような思いです。

ちなみに、以前の師匠んちは
こんな感じで隣の家が隣接してました
(ちょっとしか隣が映ってないけど)↓
http://uinversal.seesaa.net/article/241288098.html
あと、近隣の同様な家は
こんな感じで補強工事を
しておりました。
40425-9.JPG 40425-10.JPG
町屋エリアに対する特別な法律もなく
誰もかれもが自己主張をしはじめたら
確実にこの日本から町家スタイルは
消え去っていくでしょう。
これでいいのでしょうか?

どーなる、師匠んち!
近々裁判が行われる。

posted by アサケン at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月03日

創作鋏('14年1月製作開始・5寸 その1)

今年でもう、私の鍛冶修業も
6年になろうとしております↓
http://uinversal.seesaa.net/article/163652361.html#more
思い起こせば本当の夢は
ユニバーサルデザイン博多鋏を
完成させることじゃなかったですか↓
http://uinversal.seesaa.net/article/163751811.html
http://uinversal.seesaa.net/article/213198373.html
http://uinversal.seesaa.net/article/221464899.html

ということで、ここんとこ
ノーマルな博多鋏の製作に
勤しんでおりましたが
今年の1本目は久しぶりに
創作鋏の製作に
チャレンジしようと思った次第。

で、「地切り(チギリ)」を終え
40203-1.JPG
鋼を「鍛接(ワカシツケ)」し
「荒叩き(アラダタキ)」までの作業を
終了させたものが下の写真(裏と表)。
40203-4.JPG 40203-5.JPG
40203-2.JPG 40203-3.JPG
ノーマルな博多鋏の
同段階の物と比べると↓どこが違うか
http://uinversal.seesaa.net/article/196334841.html
分かっていただけると思います。

一方の「足(アシ)」が
二手に分かれておりますな。フフフ。
名づけて「三つ指穴鋏」だあ!
こうご期待!!
posted by アサケン at 16:05| Comment(3) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月10日

博多鋏('13年6月製作開始・6寸 その3)

これ、ちょいと前の話になるのですが
前回コチラ↓で紹介した
http://uinversal.seesaa.net/article/375119609.html
6寸鋏の、その後ですが。
まあ、誰も気にしちゃあ
いないでしょうけど……。

擦り合わせがいまいちで
アイの面などを見て
いろいろ研究していたのですが……
アイの面なんぞ以前に、
刃裏の研ぎもいまいちなことが発覚。
これじゃあ、どうにもこうにも
師匠の鋏の切れ味に
届くなんてことできないことを
再認識した次第(涙)。

そこで、師匠が
「これ、使ってみれば?」
と手渡してくれたのが1本の棒。
よく見ると溝が刻まれております。

「博多鋏では、あまり使わんやり方
なんやけど、この溝に刃をかませて
ひねりを加えるったい。そうすると、
刃と刃がより1点で合わさるようになり
切れ味が増すようになるんよ。
鋼が折れてしまうことがあることを
覚悟してやらんといかんけどな」

鋼はいったん焼き(ヤキ)をいれて
固くしてしまうと、もろくなるという
特徴も持つんですな。
31210-1.JPG 31210-2.JPG
恐る恐る力を加え……
まあ、ちょっとはひねりを入れることは
できたのですが、あまりやり過ぎると
本当にポキっと折れて、全てがパ〜
ってことになっちゃいますので
大概のところで諦めた次第。

博多鋏は穂が短いことも特徴で
そんな刃をひねるなんてこと
相当危険をともなう行為なんですな。
しかし、これで少しは
切れ味も増したような気がします。
31210-3.JPG 31210-4.JPG

ところで、博多鋏は
以前にコチラ↓で紹介したように
http://uinversal.seesaa.net/article/163652361.html#more
古くに中国大陸から渡ってきた
「唐鋏」と呼ばれるものを
原型としているのですが、
日本には同じくこの「唐鋏」を原型
とした鋏がもうひとつ残っておりまして
それが「種子鋏」と呼ばれるものです↓
http://www.geocities.jp/kinomemocho/hamono_hasami.html
しかし、博多鋏と同様、いろんな
職人による鋏があるようですな。

そんな中で、
高柳商店(←我が師匠)の博多鋏
と同等に評されているのが
牧瀬本種子鋏製作所の種子鋏です↓
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=228332
http://www.craftsaloon-en.com/hasami.html
で、この「種子鋏」の特徴が
「ねり」と呼ばれる
刃にひねりを入れている
ところにあります↓
http://blog.livedoor.jp/tanegasima/archives/25370891.html
http://teshigoto.jp/excellent_article/201002.html

確かに博多鋏には
「刃をひねる」という概念はありません
しかし、高柳師匠がいうには
「研ぎの段階で、刃がプロペラ型
になるよう意識して削るんよ」
そうすることで、博多鋏の刃には
種子鋏のような急激なひねりではなく
微妙なカーブが入っているんですな。

「そういう削り方ができんかった
昔の職人が、帳尻を合わせるため
使っていたのがこの棒ったい」
と笑っておりました。
posted by アサケン at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月18日

博多鋏('13年6月製作開始・6寸 その2)

さて、週末鍛冶修業。
前回からの続きです。↓
http://uinversal.seesaa.net/article/370492123.html
今回は「焼入れ(ヤキイレ)」
「本研ぎ(ホントギ)」
(まで終えた段階が下の写真)
30916-1.jpg 30916-2.jpg 30916-3.jpg 30916-4.jpg
その後、「研磨(ケンマ)」
「足曲げ(アシマゲ)」「カシメ」
と終え、ついに完成した
6寸の鋏が下写真左側のもの。
30916-5.jpg
上右側の鋏は、以前製作し
コチラ↓で紹介したことのある
http://uinversal.seesaa.net/article/202480662.html
5.5寸の鋏で、これと比較すると
その大きさの違いが
分かってもらえるかなあ。

いや〜、ずっと失敗が続いていた
博多鋏の最大寸法6寸の鋏
ひとつ大きな壁を
乗り越えることができました(号泣)

以前に製作した5.5寸の鋏
と比べると、凸凹していた表面も
すいぶんと滑らかになり
研磨技術も上達していることが
分かっていただけることでしょう。
(いや、ん〜、この写真じゃあ
ちと分かりにくいかなあ)

ところが、今回の製作。
これで、終わりじゃないんです。
さらに、一歩踏み込んだ世界の
修業をすることになりました。

まだまだ師匠の鋏と比べると
穂(ホ)の回転操作時、
穂と穂が擦り合う滑らかさが
あきらかに違うんです。

その違いを師匠に尋ねたところ
「一度、カシメを外してみい。
そしたらアイの面に
摩擦痕ができとるけん
それをじっと見て、
自分で研究するこっちゃね」
とのこと。どうやら、
このアイの面の作り方は
職人によって様々な形成論があり
その全てが正解といった
幾通りもの方法があるらしい。
30916-6.jpg 30916-7.jpg
「ここが鋏の一番難しいとこやね」
と目を細める師匠。
ついに私も終わりのない
鋏宇宙の世界に入った……
いや、その入口にようやく
立ったということでしょう(感無量)。

しかし、それから、かれこれ
2週間ほど眺めてはいるのですが…
ど、どうすればいいのか
ぜんぜん分からん!
喜び一瞬、苦労一生。やね。

で、そんな詰まった気分を変える
「鍛冶屋あれこれ」な道具コラムの
話をばさせていただきます
本日は「足曲げ(アシマゲ)」に
必要な道具の話なのですが
「足曲げ」の方法は以前にコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/230066069.html
で紹介したとおりです。
この道具は鋏の寸法別に
存在するんですねえ。

で、師匠がいつ死んでも
大丈夫なように(謝笑)
その大きさや形が分かるように
写真で残しておこうと思って
撮影してきたのが下の写真。
30916-8.jpg
上から特大/6寸/5.5寸/5寸/4寸
用となっております。

さらに下の写真は2列とも
左より6寸/5.5寸/5寸/4寸
用となっております。
(写真をクリックすると拡大します)
30916-9.jpg 30916-10.jpg 30916-11.jpg 30916-12.jpg
30916-13.jpg 30916-14.jpg 30916-15.jpg 30916-16.jpg
ん〜、こんなことして
いつか誰かの役にたつのかねえ。
まっ、いいけどね。
posted by アサケン at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月28日

博多鋏('13年6月製作開始・6寸 その1)

いちおう、ここで振り返っておきますと
私の夢は、ユニバーサルデザインな
博多鋏を造ることであったのですが↓
http://uinversal.seesaa.net/article/163751811.html#more
http://uinversal.seesaa.net/article/213198373.html
http://uinversal.seesaa.net/article/221464899.html
http://uinversal.seesaa.net/article/230066069.html
もう、そんな夢は遥か彼方……
まずは、まっとうな鋏を造るという
そんな当たり前の目標でさえ
やればやるほど、遠ざかっているという
そんな状況でございます。

しかし、考えてみれば
そうりゃあそうでしょうよ。
我が師匠でさえ、未だに
あーでもない、こーでもないって
完璧な博多鋏の姿を求めて
考え続けているのですから。

ということで、今回も
到底辿り着きそうにない
夢に向けて、まずは一歩目を
踏み出すべく、始めたのが
ノーマルな6寸の鋏製作。

ここんとこ、ずっと失敗が続いている
博多鋏の最大寸法のもの
でございます↓
http://uinversal.seesaa.net/article/362708217.html
http://uinversal.seesaa.net/article/301645191.html
これが今、私のひとつの壁に
なっているんですよねえ。
大きいと、なんだか
集中力が続かないというか……。

で、製作を開始し3日目を終えており
下の写真がこれまでの段階を
追って見るものです。

1日目(鍛接、鍛造)
30728-1.jpg 30728-2.jpg 30728-3.jpg 30728-4.jpg
2日目(生研ぎ)
30728-5.jpg 30728-6.jpg 30728-7.jpg 30728-8.jpg
3日目(目釘穴あけ、菱打ち)
30728-9.jpg 30728-10.jpg 30728-11.jpg 30728-12.jpg

今のところ、なんとか
致命的な失敗もなく
製作を続けられております。
が、一瞬の気の緩みで
全てがパ〜ともなりかねない
世界のものであるものですから
変な話「早く造り終わってくれー」
ってな心境でございます。
分かるかなあ〜、
分かんねえだろうなあ〜。

と、ここで、そんな緊張から
ちょっと解き放つ、
コラムなお話をばさせていただきます。

「目釘穴あけ」の位置は
その鋏が、鋏としての機能を果たすか
果たさないかの分かれ道ともなる
重要な要素であります。
ここの位置を間違うと
いくら切れる刃を造っても
しっかりと擦りあわないため
もう鋏ではなくなってしまうんですね。

そんな「目釘穴」の
位置を決める道具がコレ(下の写真)
30728-13.jpg 30728-14.jpg
特に名前はないのですが、
コレを写真のように(上右)
一方の端をアゴにかけて
もう一方の端でボディに傷をつけて
「目釘穴」の位置を印します。

鋏のサイズにより
その距離はまちまちなので
サイズ別にコノ道具は
準備されております。

下の写真、左が6寸と5.5寸用、
右が5寸用のもの。
30728-15.jpg 30728-16.jpg
下の写真、左が4寸用、
右が特大といって
ちょっと例外で造ったときのもの。
30728-17.jpg 30728-18.jpg
「こうして定規とともに撮影し
数字で残しておけば、
師匠がいつ死んでも大丈夫ですよ」
と博多鋏の将来を思って
言ってあげたつもりだったのですが
複雑な表情を浮かべた
師匠でございました。
ハハハ。
posted by アサケン at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月21日

博多鋏('13年2月製作開始・6寸 その2)

さ〜て、ご無沙汰しておりました。
鍛冶修業日記。
しぶとく、続けておりまっせ〜。

前回、コチラ↓で紹介していた
http://uinversal.seesaa.net/article/343110431.html
作りかけの鋏の続報です。

「地切り」し「鍛接」までを終えた前回
それから「鍛造」「生研ぎ」までを
終えたのが下の写真のもの。
30521-1.jpg 30521-2.jpg
さらに「目釘穴あけ&菱打ち」
「焼入れ」「本研ぎ」とまで
進んだのが下の写真。
30521-3.jpg 30521-4.jpg
工程の話は以前コチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/189391765.html
で紹介したものをご確認ください。

と、ここで重大な問題が発生!
なんと、削り進めているうちに
中のほうから、鍛接失敗部分が
現れはじめたのでした。
30521-5.jpg
鋼と地金がうまく接合しておらず。
亀裂となって出てきてしまいました。
こうなると、はい、終了〜。
もう、いかなる修復もききません。
これまでの作業はみんなパ〜。
最初から作り直しです(涙)。

ここんとこ、ずっと
失敗作が続いているうえ
この最終段階で、
失敗が発覚したことで
相当ヘコんだ次第。
ということで、最近、鍛冶日記が
更新されていなかった訳ですな。
はははは↴。

さて、そんなスランプ状態を脱すべく
ちょいと気分転換なお話をば
させていただきます。

師匠の細工場には
2台の両頭グラインダーが
置いておりまして、ということは合計で
4種のグラインダー盤があるのですが、
1種は、特別な場合で使うのみで
ほぼ3種で全ての削りと研磨を
まかなっております。
グラインダーの話は以前コチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/202480662.html
で紹介したものもご参照ください。

下の写真は1機目のグラインダーで
上奥に見えるのが「水研ぎ」用のもの
下手前が特別時用のもので
これが、ほぼ使っておりません。
30521-6.jpg
この1機目のグラインダーは
モーターにシャフト、グラインダー盤を
別々に買ってきてベルトで繋げた
師匠オリジナルのものになります。
30521-7.jpg
師匠曰く
「こういうシンプルな作りの方が
頑丈やし、回転数なども
自由に変えれて便利なんよねえ」
とのこと。

一方、もう1機が下の写真のもの
上奥が最終研磨に使う
バフといわれるもので
バフにつきましては
以前に紹介したコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/270653237.html
http://uinversal.seesaa.net/article/270653237.html
http://uinversal.seesaa.net/article/271051002.html
で紹介したものをご確認ください。
で、下手前がアシ部分などを削る
グラインダー盤でございます。
30521-8.jpg
この2機目のグラインダーは
市販されていた両頭グラインダーで
回転数が決まっておるそう。
標準で1800min-1(回転/分)
あるそうなんですが、
これをとある禁じ手により
1500min-1に押さえているとのこと。

その方法というのが
インバーター(周波数変換機)を使って
西日本で60Hz(ヘルツ)ある周波数を
だいたい45Hzぐらいに落として
これによって回転数を下げて
いるらしいんですねえ。
30521-9.jpg
知っている方も多々いらっしゃると
思いますが、日本には2種の
電力周波数がございます。
東日本で50Hz、西日本で60Hz。
例えば九州で買った扇風機を
東京で使うと回転数が落ちる
なんて話を聞いたことが
ありませんでしょうか?
あの理論を利用しているのですねえ

ちなみに日本の商用電源周波数
のお話はコチラなど
でご確認ください。

で、現在1500min-1ぐらいで
使っているらしいのですが
本当は1200〜1300 min-1ぐらいが
いいんじゃないかと、思ってて。
でも、これ以上合わない、周波数で
モーターを動かしていると
トランスが加熱して
発煙したりするらしいんですね。

へ〜、勉強になります。
じゃあ、これも1機目のグラインダー
のようにシンプルな作りのものにすれば
いいんじゃないかと思うのですが
それはそれ、やっぱり
素人のオリジナル・グラインダーでは
軸のズレなどがあり
最後の繊細な研磨には
向いていなかったのかなあ
なんて想像しています。
逆に、荒削りで、水を落としながら削る
なんてグラインダーには
市販されているものでは
すぐ壊れちゃうんじゃないかと。

グラインダーも人間と一緒ですな
適材適所、一長一短やなあ
というお話でした。
…みんな、ついてきてね。
posted by アサケン at 15:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月06日

博多鋏('13年2月製作開始・6寸 その1)

博多鋏の最大寸法である
6寸の鋏は、前々回の製作で
挑戦したのだが、
コチラ↓で紹介したように
http://uinversal.seesaa.net/article/301645191.html
あえなく失敗。

では、その汚名を返上すべく
今回、再び挑戦することに。

ということで、
「6寸用の地鉄をいただけますか」
と師匠にいうと
「おお、最近、新しい素材が
手に入ったんよ。好きなだけ使いい」
とのこと。

素材のことについては
以前、このブログでもコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/256987205.html
で紹介したこともあるのですが
ずっと師匠は、父上の代から使う
ヨーロッパのどこかの
鉄橋で使われていた鉄材を
地鉄として使っていたらしいのだが
それが最近、なくなりかけていた
らしいのですねえ。

どこかにいい地鉄がないかいな
と探していたところ、
ちょいと縁あって、コチラ↓の
http://www.daifuku-s.com/
「大福シャーリング」さんに
提供してもらえるようになったらしい。
なんでも博多包丁で知られる
大庭さんところも↓
http://uinversal.seesaa.net/article/215419495.html
こちらの地鉄を使って
いらっしゃるとのこと。
30305-1.jpg
では、その新地鉄を
使わせていただきます。

まずは測定しておきましょうかね。
幅5分5厘、厚み2分
と、以前のものより若干大きめですな
30305-2.jpg 30305-3.jpg
まあ、大きいものを小さくしながら使う
鍛冶屋の素材としては
さほど問題はないでしょう。

「じゃあ、あと鋼もいただけますか」
と師匠にいうと
「爪がついたものは、
さっきなくなったんで、自分で作りい」
とのこと。

鋼(ハガネ)のことについても
以前、このブログでコチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/196334841.html
で紹介したこともあるのですが
いつもは、師匠が何本か作って
準備している、細くて短い棒状で
爪がついた鋼を2本もらって鍛接↓
http://uinversal.seesaa.net/article/206724054.html
していたのであるが
今回はそれを自分で作れと。

「え〜、めんどくさい」
とは口が裂けてもいえず。
今回は、その作業からとりかかることに

左下の赤らめた長い鉄棒が鋼ですな
ぱっと見、地鉄との区別はつきません
ちなみに鋼は、日立製鋼、
安来鋼、白紙2号を使っております。
30305-4.jpg 30305-5.jpg
これを細く伸ばし、爪をつけて
短く切ったものが右上のものですな
この爪をつけるのが難しいのですが
どうつけているかは、また別の機会に

さて、この鋼を地切りした地鉄に
鍛接するのですが
このときに使うのが、下の写真の
ヤットコといわれる道具です。
30305-6.jpg
まあ、ラジオペンチのようなもんですな
しかし、これがよく出来ていて。
裏側に段がついているのですが
この段を地鉄のアゴの部分に
ひっかけることによって、
鋼を置く位置が分かるように
なっておるのであります。
30305-7.jpg 30305-8.jpg
この鋼を付ける位置を間違えちゃうと
いわゆる堅い部分が
左右対称にならず
一方が削れちゃうなどの
問題が発生するんですな。

ということで、無事
鋼を鍛接し終えたばかりの
状態のものが下の写真。
30305-9.jpg
さらに、鍛造によって
形を整えたものが下の写真。
30305-10.jpg 30305-11.jpg
まあまあの出来かなあ。
30305-12.jpg 30305-13.jpg
それでは次回は削りの作業ですな。
無事、鋏になりますように。
posted by アサケン at 11:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月22日

黒錆博多鋏

前回紹介した↓錆鋏製作から
http://uinversal.seesaa.net/article/310276058.html
いろいろ錆について調べていると
赤錆と黒錆があることを知る↓
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-14.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1119901861
そういえば、師匠が見せてくれた
40年ものの博多鋏、
黒光りしていたよなあ。

なんでも、鉄をボロボロにする
赤錆と違い、黒錆は
それ以上の酸化を防ぐという
コーティング効果があるとのこと。
で、故意に黒錆をつくるという
鉄表面加工技術が存在するらしい。

そんな中から最も簡単そうな
タンニン処理といわれるものを↓
http://pub.ne.jp/ANAGO/?entry_id=4226833
http://hydroxide.seesaa.net/article/128289472.html
最近作ったノーマルな
5寸の博多鋏で試してみることに。
30122-1.jpg 30122-2.jpg
まずは鋏表面についた脂分を
お湯できれいに洗って取り除きます。
30122-3.jpg 30122-4.jpg
そして濃い目の紅茶をつくり
そこに大さじ2杯分ほどの
お酢を加えた液体を準備します。
30122-5.jpg 30122-6.jpg
あとは鋏を浸しているだけで
30分もしないうちに
鋏から黒い液体が発生しだし
酸化が始まるではありませんか。

そーだなあ、2時間ほど漬けて
出来上がった黒錆鋏が以下のもの
30122-7.jpg 30122-8.jpg
へ〜、こんなクッキングみたいな
方法で、なかなか立派な黒錆が
出来上がるんですなあ。

博多鋏にはこんな
表面加工技術はないんで
師匠に見せたところ
楽しそうにこの鋏を
眺めてくれました。

ところで、赤錆を黒錆に
還元?変換?する方法も
あるみたいなんだよなあ↓
http://daikoube.blogspot.jp/2012/11/blog-post_22.html
これは師匠が施していた
古い博多鋏に対する
メンテナンスの方法と
似ているよなあ。

あと、以前に製作したことのある↓
http://uinversal.seesaa.net/article/213198373.html
“黒打ち”の鋏。これも
一種の黒錆の鋏といえるもの
になる訳ですな↓。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1054753625

ん〜、面白い。
鉄と錆。
posted by アサケン at 16:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月28日

赤錆博多鋏

前回、コチラ↓の記事で紹介してた
http://uinversal.seesaa.net/article/301645191.html
アンティーク調博多鋏製作。
あれから約1ヶ月半を過ぎ
こんな感じになりました。
21223-1.jpg 21223-2.jpg
ネットで調べたところ
雑貨の世界とかでは
わざと金属モノを錆させる方法、
いろいろあるみたいですなあ↓。
http://ameblo.jp/otunnpa/entry-10845500654.html
http://yaplog.jp/petit_choco/archive/119
http://yaplog.jp/petit_choco/archive/283

まあ、そんな中から
今回は、最も簡単な
食塩水ふりかけ作戦を
行ってみたのですが
結構錆びさせることができました。

で、これを師匠のところに持っていって

「師匠、わざと博多鋏を
錆びさせてみたのですが
いかがでしょう」
と見せると。

「こりゃあ、お前さん、適当に
錆びさせすぎやろう」
とのこと。

なんでも、急激にわざと入れた錆と
何十年もかけて自然に入った錆とは
違うらしい。

「ちょうど、研ぎなおしの依頼がきた
40年ものの博多鋏があったなあ」
と家の奥から引っ張り出してきて
見せてくれたのが下の鋏。
21223-7.jpg 21223-8.jpg
「か、かっちょええ」

黒光りしたマット系ボディに
刃の部分だけが研ぎなおされ
コート系の銀色に輝く様子は
まさに錆を生かした仕上がり
と言えるもの。
21223-9.jpg 21223-10.jpg
ほほー、これが錆を育てる
というメンテナンスですか。

「ちなみに、こんなに錆びた
僕の鋏のような研ぎなおしの
依頼がきたとするなら
まず、どんな処理を施すのですか」
と聞くと
「まずは、鋏の軟鉄のボディを
傷つけないような、同じ軟鉄の素材で
凸っと盛り上がった錆を削りとるんよ。
そして、更に柔らかい真鍮のブラシで
磨き上げ、椿油をすり込み仕上げる」
という処理を施すと
21223-3.jpg 21223-4.jpg
なるほど、さっきより
使い込まれた鋏のような
雰囲気をかもし出しはじめました。
21223-5.jpg 21223-6.jpg
「まあ、邪道な方法だけど
これを何度か繰り返せば
さっきのような40年ものの鋏に
見た目は近づくかもね」
とのこと。

しかし、侘び錆をよしとする
日本文化のなんと素晴らしいことか
先人たちの美意識には
感服いたします。
またひとつ、博多鋏の楽しみ方を
発見させていただきました。
posted by アサケン at 00:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月13日

博多鋏('12年7月製作開始・6寸)

ここんとこ、随分更新していなかった
僕の週末鍛冶修業日記ですが
ちゃ〜んと、続けておりますよ〜。
で、前回、コチラ↓のほうで紹介した
http://uinversal.seesaa.net/article/281334105.html
作りかけだった6寸の鋏も
ちゃ〜んと、完成しております。
21113-1.jpg
が、師匠作の片一方と
僕作の片一方を合わせるという
試みで作った今回の作品。
やっぱり難しゅうございました。

いちおう鋏の形には
もっていくことができましたが
切れ味がぜんぜん
イマイチでございます(恥)。

しかし、予想どおり大変勉強になる
作業とはなりました。
そうか、師匠の鋏とは
ここの厚さが違うんだとか
ここの角度が違うんだとか
いろいろ知ることができました。
失敗なくして成功なし!
精進いたします。

ということで、失敗作となった
今回の鋏ですが、
ちょっと、とある実験材料として
使わせていただきました。
上の写真を見ても分かるのですが
ちょっと錆びております。これ、
わざとベランダで雨ざらしにして
錆を作ってみたんですなあ。
21113-2.jpg
博多鋏はオール鉄で
出来ておりますので
すぐ錆びるんですねえ。
しかし、研ぎなおす際は、
刃の部分だけをピカピカにするだけで
安易にボディにできた錆までは
落とさないんです。
錆を育てるという考え方で
風合いのある錆を良しとするんです。

今回、まあ、いわゆる。
わざとアンティーク調の鋏を
作ってみようという実験ですな。
今の段階で、そうさねえ
2週間ほど雨ざらしに
してみましたかなあ。

毎日、鉄が錆びるのを
楽しみにするという
ジミ〜なこの遊び。
21113-3.jpg
秋にはぴったりです(寂)。
posted by アサケン at 16:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月16日

博多鋏('12年7月・6寸・1日目)

さて、2週に1度の
僕の週末鍛冶修業ですが。
ここんとこ、ずっと
道具や設備の修理続き↓
http://uinversal.seesaa.net/article/274384213.html
http://uinversal.seesaa.net/article/271051002.html
http://uinversal.seesaa.net/article/267987226.html
だったもんですから、そろそろ、
鋏造りに戻らんと、ほんと、
腕がなまっちまうかも。ということで、
とりかかったのが、この鋏製作。
20716-1.jpg 20716-2.jpg
師匠が「ああ、失敗した〜」といって
投げ出したものを拾って
「どこが失敗したんですか」と尋ねると
「鋼が付いた場所が鎬(シノギ)より
1mm上にズレとろうが」
「え〜たったそれだけですか?
もったいないのでこれ僕にください」
「何にするとや?」
「もう片方を僕が作って
鋏を完成させますんで。
師匠の形に合わせることで
勉強にもなるなあと思いまして」
「さあどうやろ。勝手にしい」
20716-3.jpg 20716-4.jpg
(ちなみに、上写真のものが
その師匠作のものでして。
右上の写真、鉄の色が変わっている
部分が鋼なんですけど
裏の鎬と1mmほどズレているのが
分かりますでしょうか)

ということで、本日は
とりあえず師匠の目方にあわせて
地切り(ジギリ)までを終了させる。
(ジギリとはコチラ↓を)
http://uinversal.seesaa.net/article/206724054.html
20716-5.jpg 20716-6.jpg
ふむふむ、この作業。
かなり勉強になりそうな予感がする。
しかも、今までに造ったことのない
6寸という巨大サイズなものだし。
なんだかワクワクしてきたぜえ。
posted by アサケン at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月11日

火床メンテナンス(2)

さて、前回の続きです。
2週に1度の
僕の週末鍛冶修業の日。

「師匠、モルタル見ました?
これで大丈夫ですよね?」と僕。
「おお、ありがとな。
たぶん大丈夫やろ。
それじゃあ、火床をかためるか」と師匠

まずは、火床からコークスを
全部取り除きます。
すると羽口がその全容を現しました。
へ〜、こうなってるんだ。
初めて見たなあ。
20610-2.jpg 20610-3.jpg
ところで、羽口とは↓
http://www.weblio.jp/content/%E7%BE%BD%E5%8F%A3
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kumakoh/kajisagyokiroku081.html
http://www.hongwanji.or.jp/goeidou/gos_dayori/dayori90.htm
火床ではコークスに風を当て
温度を上げていく訳ですが、
その送風口のある、いわば
送風管のようなものですな。

しかし、師匠のものは
師匠の親父さんの時代から
使っているものらしく。
管というより、大きな鉄の塊に
穴が開いているもの、
という表現のほうがいいようなもの。
20610-4.jpg
その昔、江戸時代あたりでは
この羽口、素焼きの粘土製
だったらしいですな。
そして、もちろんその頃は
耐火レンガとか耐火モルタル
とかもなく、火床全体も粘土で
固めて作っていたみたいなのですが、
その粘土がどうやら
いわゆる陶器等で使われる
粘土ではダメみたいなんですよねえ。

なんでも、鍛冶屋のみが知る山中で
とってきてたみたいなんですけど
今やそれがどこの山で、
どんな土なのか、うちの師匠も
大庭さんも↓、もう
http://uinversal.seesaa.net/article/215419495.html
知る人が、誰もいないんですよねえ。

で、こういうこと。こういうことが、
僕はもったいなく感じるんですよ。
何百年とかけて知りえた知識が
今、伝統工芸の世界では
どんどん“0”になっているんですよ。
それを少しでも食い止めようと
僕は頑張っている訳です!

と、そんなことはいいとして。
師匠が火床を分解している間、
僕はモルタルに水を入れて準備を。
すると、多少色が、グレーっぽく
なっちゃいましたが、まっいいか。
チッチャイことは気にするな
それ、ワカチコ、ワカチコ。
(ゆってぃ、元気かなあ)
20610-1.jpg
あと、火床の分解ついでに
どうやって送風口からの風量を
調節しているのかと、
いうところをお見せしましょう。
なんのことはない作りでして
羽口の手前に写真のような
穴の開いた板を置いておりまして
これをスライドさせることで
風量を調節する訳ですな。
手前に引けば風量が多量に
奥に押せば風量が少量に
なることになります。
分かるかなあ、分かんねえだろうなあ
20610-5.jpg 20610-6.jpg
さて、最後は掃除機で
きれいに灰もとりのぞき
耐火レンガとレンガの間に
耐火モルタルを塗り、重ねていきます
20610-7.jpg 20610-8.jpg
完成後、コークスを戻し、火入れをし、
その火の広がり具合を確認し
「おお、なかなか、いいっちゃないや」
とご満悦な師匠。
20610-9.jpg 20610-10.jpg
しかし、今回。
火床作りの重要ポイントは
羽口の角度だってことを知りました。
これが上過ぎても下過ぎても
ぜんぜん、火の広がり方が
違うんですよねえ。
火床と平行でもなく、それは
ほんのちょっと上向き加減なとこ
なんですけど……
この情報、誰か参考にしてくれる人
いれば嬉しいのですが……。
20610-11.jpg


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2012年06月10日

火床メンテナンス(1)

ちなみに火床(ホド)とは
以前、コチラ↓でも
http://uinversal.seesaa.net/article/198675983.html
紹介したことがあるのですが
言わば鍛冶屋の子宮
とも言える場所で。
コークスを燃やす炉ですな。
ここで鉄を赤らめ柔らかくし
命が吹き込まれる訳です。

以前、コチラ↓でチラっと
http://uinversal.seesaa.net/article/259110456.html
触れたことがあったのですが
ここ数ヶ月間ずっと、ああでもない
こうでもないと、微調整してきた
火床(ホド)の送風口の位置が
ようやく、かたまったみたいでして。
20609-1.jpg 20609-2.jpg
しかし、師匠が言うことには
「これで固定したいんだけど
耐火レンガとレンガをくっつける
耐火土がもうないっちゃんね。
以前、20年ほど前に
綱場あたりで買うたっちゃけど
今、その販売店もないんよなあ」
とのこと。そこで僕が
「ちょっとネットで調べてみましょうか」
「おお、よろしく頼むは」

ということで、「耐火土」で
検索してみると
どうやら「耐火粘土」という
言い方のほうが一般的みたいで
さらには業界的には
「耐火セメント」と「耐火モルタル」
というものがあることを知り↓
http://www2s.biglobe.ne.jp/~chikuro/chikuro04mortar.htm
たぶん、師匠んちで
今まで使っていたのは
その色や質感、機能性から
「耐火モルタル」であろうと。
色は、グレー色とベージュ色の
ものがあるらしく、
師匠が以前購入し少量残っている
それは土色だったので、それじゃあ
ベージュのものをまた購入しましょ
ってことで楽天市場で
みつけたのが以下のもの。

この「耐火モルタル」
右の写真をクリックすると
購入できるサイトにリンクします。
(アフィリエイトです)
でも、誰か買う人いるのかなあ?
ちなみにこの「耐火モルタル」
を使ってピザ釜とか
作っている人もいるみたいですよ
まあ、よかったらどうぞ。



で、パソコンを持っていない師匠に
調べた「耐火モルタル」の情報を
プリントアウトしていろいろ見せると
「えーっ、耐火レンガは
水で濡らしたらいかんのか。
俺は湿らせよったばい。
ははは、知らんやったあ」とのこと。
案外、職人はいい加減なのである。

「それはいいとして、
たぶんこのベージュのモルタルで
間違いないでしょう。
もうこのネットで購入しますよ」と俺。
「おお、宜しく頼むは」と師匠。
20609-3.jpg 20609-4.jpg
で、注文後、3日目あたりで
届いたのが、上の写真のもの。
ネットで見たものとパッケージが違うが
モルタル自体は確かにベージュ
だったので、まっ、いいか。
チッチャイことは気にするな
それ、ワカチコ、ワカチコ。
(ゆってぃ、元気かなあ)

とまあ、こんな感じで
現代の鍛冶屋は、近代化の波を
なんとかしのいでおります。

それじゃあ、明日。
このモルタルで火床をかためましょ。
続きはまた次回。


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2012年05月22日

バフ作り(3)

さて、またまた昨日の続きです。
4枚の馬糞紙を貼りあわせた
ところまでいきましたな↓。次に
http://uinversal.seesaa.net/article/270779240.html
グラインダーの軸を通す用に
作られたプラスチックの管を
バフの中心部分に開けた穴を
ヤスリで少しずつ削って
ピッタリとはめ込みます。
20521-2.jpg
プラスチックの管は最終的に
瞬間接着剤でバフにはめ、
いったんグラインダーにセットし
10分ほど乾くのを待ちます。
20521-3.jpg
ちなみに、ここで決めたバフの上下は
これからずっと守らなければならない
上下となります。理由は
いくらグラインダーの軸にあった
プラスチックの管とはいえ
下には絶対隙間ができますので
その分を考慮しないと
完全な回転円を描けないからです。
(分かるかなあ、
分かんねえだろうなあ)
20521-4.jpg
で、グラインダーを回しながら
粗めの砥石でバフ面となる部分を
削りながら回転軸に対して
平面平行に仕上げていきます。
(これがまた、難しいんだなあ)

最後は以前コチラ↓で紹介した
http://uinversal.seesaa.net/article/263556727.html
作業と同様にバフ面にニカワを塗り
エメリー粉をまぶして出来上がり。
20521-5.jpg
「おお、お前さんもとうとう
自分用のバフを
持つことになったか」と師匠。
「いやいや、僕専用じゃありませんよ
師匠も使ってくださいね」と俺。
「ははは、いい出来やし
そうさせてもらうわ」と師匠。
美しい師弟愛に包まれた
1日でありました。


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2012年05月20日

バフ作り(2)

さて、昨日の続きです。
まずは馬糞紙を35.5cm直径の
円型に切り抜きます。しかし、
馬糞紙は4mmの厚さを持ちますんで
いかに紙とはいえ大変な作業。

そこで登場するのがこれ。
「ぐるぐるカッタ〜」
(↑ドラえもん風に読んで)
先日申しておりました
もう一人の弟子が作った道具で、
L字型の棒の角のところに
刃がついており、逆側の辺の
先端にある穴に釘を入れて
ぐるぐる回せば35.5cmの円が
切り抜けるというシロモノ。
20520-1.jpg 20520-2.jpg
で、これで4枚切り抜くのですが、
買ってきた馬糞紙は1枚で
ぎりぎり4つの円を
切り抜くことができました。

次に円の中心に今後は
直径2.5cmの穴を開けるのですが、
ここで登場するのが
「くるくる穴あけマシ〜ン」
(またまた↑ドラえもん風に読んで)
これは師匠が
「うちに昔いた職人が作ってた
樽に穴を開ける道具やんね」
と申しておりました。
まずは中心の穴をドリルで広げ
20520-3.jpg
そこを中心にして先ほど道具を刺し
くるくると回し押し込めば
穴がか〜んたんに、ほがせるという。
ほんと先人の道具は
優れものであります。
20520-4.jpg 20520-5.jpg
で、切り抜いた4枚の円を
「にかわ」で貼りあわせるのですが。
「にかわ」とは↓(下の写真のもの)
http://www.babaken.co.jp/babaken_nikawa.htm
日本では昔から日本画や工芸品
の世界で使われてきた
接着剤のことですな。
20520-6.jpg 20520-7.jpg
粉末のものを水に入れ加熱し
ジェル状にしたものを使用します。
歯ブラシでいっきょに馬糞紙に塗り、
(乾燥、温度差で凝固が速いんで
スピード感が求められます)
ズレのないよう4枚を貼りあわせます

そして、乾いていくうちに
反りなど入って曲がらないよう
厚い板と板の間にはめて
上から重しをのせ、一週間。
20520-8.jpg
ちなみに重しには
先日コチラ↓
http://uinversal.seesaa.net/article/267987226.html
で紹介した、結局使わなかった
昔の金敷を利用させていただきました
いや〜、この上ない重さで
一週間後、ぴったりと真っ直ぐ
貼り合わさっておりました。
20521-1.jpg
さて最後は、仕上げの作業。
この続きはまた明日。


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