2022年05月22日

地金

さて、また1本の鉄の棒から
鋏作りを始める。
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これは地金と呼ばれる軟鉄。
(焼入れしても焼が入らない
炭素含有量が0.02%未満のもの)
この軟鉄に鋼と呼ばれる炭素鋼を
(炭素含有量が0.02〜2.14%のもの)
貼り付けて作るのが
日本の刃物の特徴だ。
220522-1.jpeg
ちなみにこの地金は
師匠より生前にいただいたもの。
5〜6寸の鋏はこの地金で作っておられた。
使いきってしまわないうちに
そのサイズを記録撮影しておこう。
220522-3.jpeg

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我が相棒のコークス炉も
今はまだ元気に鉄を沸かしてくれているが
いつかは朽ちる日がやってくるだろう…。
220522-4.jpeg
まあ、いろいろ心配してもしょうがないか
私が朽ちる日も分からないのに。


posted by アサケン at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月07日

博多刀鋏

前々から紹介していた我が最新作の鋏。
実はある人からの
オーダーを受けて作った鋏でして。
そのお方というのが
人形作家・中村信喬さん。
博多人形界の巨匠であり、
日本工芸界の重鎮と
言われるお方であります。
220407-1.jpg
先日、信喬さんは
福岡県無形文化財にも選ばれました。
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/890238/
おめでとうございます!
その作品はいわゆる多くの人が想像する
博多人形の域は完全に超えたもので
福岡はもとより全国の、いや世界の
老若男女から多くの支持を得ています。

本日、我が鋏はその信喬さんから
無事合格をいただくことができ、
ご購入していただくという
名誉を授かりました。
220407-2.png
さらにはこのデザインの鋏を
僕のオリジナルの鋏として
今後世に出す許可をもいただきました。

そしてこの鋏は信喬さんの助言もあり
「博多唐鋏」改め「博多刀鋏」
とさせていただくことになりました。

ありがとうございます!
posted by アサケン at 13:43| Comment(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月22日

博多唐鋏・パッケージ

パッケージも考えてみました。
鉄の鋏の最大の難点は錆。
このようにがっつり
ビニールに包んでしまえば
ほとんど錆びません。
220322-1.jpeg
ニノ字菱紋がなくなったので
代わりにと言っちゃあなんですが
以前作っていたニノ字菱紋チャームを
着けてみました。
220322-2.jpeg
ちなみに「浅研鋏製作所」のロゴは
友人が作ってくれました。
佐藤可士和氏っぽいなと
自分では思ってて(^^)
気にいってます。ありがとう。

それでは出し入れ方法を
YouTubeの動画でご覧ください。


posted by アサケン at 16:59| Comment(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月02日

博多唐鋏(6寸)

新しい鋏が完成しました。
220202-1.jpeg
前から言ってたとおり、
これはニノ字菱紋が刻まれた
いわゆるノーマルな博多鋏ではありません。
代わりにというわけでもないのですが、
アシ(持ち手部分)には
絹焼きと言われる技法で
黒錆表面処理を施しております。

ニノ字菱紋を最初に刻んだのは
師匠のお爺さんらしく、
それが明治20年のこと。
そしてこのタイミングで
それまで「唐鋏」といわれていたものを
「博多鋏」と改名したそうです。

今から約700年前、
謝国名が中国より持ち帰ったのが
日本で初めてのクロス型の鋏(唐鋏)
と博多では言われています。
その後、幕末のころ、
刀鍛冶士として立ち行かなくなった
安河内卯助氏が、鋏の製作に取り組み
この唐鋏を世に出しました。
師匠のお爺さんはその卯助の弟子となり、
卯助の死後「宇」の字の刻印を引き継ぎ
今の博多鋏を考案しました。

今回の作品は卯助さんが世に出した
唐鋏をイメージして作ってみたものです。
ぱっと見た感じは
鹿児島の「種子鋏」と似ていると思います。
しかし、違いは種子鋏のアシが
平棒状になっているのに対し、
こちらは丸棒状になっているところです。


これも前から言ってたとおり、
今回の鋏は全長6寸になります。
前に作った5寸の博多鋏1号と
並べ比べるとその違いは一目瞭然。
しかし、極限まで薄く作ってみたので
見た目ほど重くはありません。
フォルムは博多鋏と全く一緒です。
220202-2.jpeg
今回のような
博多鋏のフォルムを持ちながら、
ニノ字菱紋が打ち込まれていない
鋏の存在を以前に
師匠から聞いたことがあります。
それは眼鏡(メガネ)と呼ばれていた
と言っていました。
一方、ニノ字菱紋が打ち込まれたものは
菱足(ヒシアシ)と呼ばれていたそうです。

そのメガネと呼ばれていた鋏は、
アシ(持ち手部分)がヒシアシ同様、
銀色のままで、
そして穂(ホ・刃の部分)と
アシの境界線がヒシアシ同様、
線の溝で区切られていたと思います。
要するにただニノ字菱紋が
打たれてないだけの博多鋏です。
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しかし今回のこの鋏は、
ホとアシの境界線に段差を作っています。
ちなみにそれは種子鋏も同じなのですが
ホに当てたグラインダーが
黒錆加工を施したアシに
およばないようにするためです。
細かいところですが、
これと全く同じデザインの鋏は
他には存在しないでしょう。

これは博多鋏をリスペクトした
僕のみのオリジナルな鋏です。
名付けるなら
「博多唐鋏」
といったところでしょうか。


それでは最後に切れ味証拠動画を
YouTubeでご覧ください。

posted by アサケン at 17:31| Comment(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月07日

6寸鋏・生研ぎ&本研ぎ

ひたすら削って、研いで、
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エラーとカバーを繰り返し、
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少しずつ少しずつ鋏の形が決まっていく。

そして、ようやく生研ぎが終了した。
あとは焼入れに本研ぎ。
今回はこの段階で足曲げを行った。
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焼入れ前に絹焼き(師匠は燻しと言っていた)
と呼ばれる黒錆表面加工処理を
足部分に施すためだ。

そして今回はニノ字菱紋も入っていない。
これは博多鋏じゃないからだ。
はたしてこの鋏は何なのか?
乞うご期待!
posted by アサケン at 14:58| Comment(0) | 鍛冶修業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする